2000年(20歳)から「講演活動」を始め、20代の頃は当たり前のように子供たちに「夢を持ってください!!」と伝えていました。その背景には、自身も小学生時代に「スポーツ選手になって日の丸を背負うんだ!!」という夢を持っていましたし、「夢」や「目標」を持つのは当たり前のことだと思っていたからです。しかしながら、30代になってある小学校に講演に行った時を境にその言葉を一切、使わなくなりました。それは、45分間、夢や目標を持つことの素晴らしさや大切さを熱く伝えた後の質疑応答でこう言われたからです。「鈴木さん、夢ってなんですか?ないとダメですか?」と。正直なところ、ハッとさせられましたし、同時に「全ての人が夢や目標は持てるものではないのか?」と気づかされた瞬間でもありました。われわれ大人は当たり前のように「夢や目標を持とう!!」と伝えていますが、実際のところ大人はどうなのでしょうか?ここで一つだけ質問をさせてください。
「アナタは今、夢や目標を持っていますか?」
「いや、子供の時は持っていたけど、、、」や「だって、仕事が忙しくてそれどころではない、、、」なんておっしゃる方もいるかもしれませんが、「子供の夢」もあれば「大人の夢」だってあって良いと思うのです。「息子をサッカー選手にしたい!!」や「孫と海外旅行に行きたい!!」いうのも立派な親の夢ではないでしょうか。現代は「忙しい」のは大人だけでなく、子供だって例外ではありません。帰宅後は宿題をやり、終わり次第、習い事に行かなければならず、休みの日も発表会や試合などが毎週のように入っていることも少なくありません。
子供たちに「将来の夢」を聞くと決まって『なりたい職業ランキング』に入っている中から選んでいるケースが多く、家業の仕事を挙げる子はほとんどいません。実際に、家業が農家だったりすると、田舎くさかったり、常に作業服が汚れているイメージなので、なかなか胸を張って「農家になりたい!!」ということは言えない気がしています。今は違いますが、実際に小学生時代のボクがそうでしたので、、、(苦笑)。
もちろん、「夢」や「目標」を持っている子たちにはそのままその夢や目標に向かって頑張ってもらいたいですし、途中で変わったとしても新たな「夢」や「目標」を追い続けてもらいたいと思っています。「ウチの子は夢も目標もなくて困っている」という親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、これからの社会を生きていくことを考えた場合、絶対に必要だということまでは言い切れないですし、それらが「ある」から凄いということもなければ、「ない」からダメということもないと思うのです。
子供たちにとって「夢」や「目標」をと言うとどうしてもハードルが上がってしまう気がしていますので、ここ10年以上は、夢や目標がない子供たちに対しては「楽しい」や「面白い」といったような「夢中になれるものを探してください!!」と伝えるようにしています。なぜなら、『夢中が才能を超える』瞬間を数多く見てきたからです。絵を描くことが好きなら絵を描き続ければ良いし、音楽が好きなら歌を歌ったり、楽器を弾いたりし続ければ良いのです。これには理屈は存在しません。「〇〇マニア」なんてまさに『夢中』になった人の最終形だと思うので、悪いことでなければ本当に素晴らしいことだと思います!!実際に、「スポーツ選手になりたい!!」という夢を持っていたからって『夢中』になってトレーニングをしなければなれませんし、逆に夢や目標がなくても『夢中』になったことでいつの間にか「スポーツ選手」になっていたというケースだってあるからです。実際にボクの場合は、「陸上をやりたい!!」と思って始めた訳ではなく、ハンドボール選手として復帰するためのリハビリとして走り始め、途中から跳んでいる方が楽しくなり、結果、夢中になって跳び続けていたらいつの間にか「日本代表」になっていました。
競技人生19年を経て皆さんにお伝えできることは、スポーツは「選手」が一番という訳ではなく、「指導者」や「トレーナー」、「主催者」、「審判」、「ファン」などの支える側のサポートがあってこそ成立するものだということと、たとえ怪我やスランプなどで選手である「する」側を辞めて「観る」側や「支える」側になったとしても『夢中』だけは継続して頂きたいと思っています。これはスポーツに限らずどのジャンルにも言えることです。
ボクの願いはたった一つ。『夢中』になれたものを『嫌い』にならないで欲しいということだけです。だって、「する」側の引退式はありますが、「支える」側の引退式はありませんからね。
TORU
0コメント