それは、「ケガ」をしないためと「記録」を伸ばすためです。
小学校(野球、バスケ)、中学(ハンド、ラグビー)・高校(ハンド)と球技系のスポーツをしていましたので、いわゆる『罰走』というものを経験しました。ただ、今振り返ってみてもそれが全て「悪い」とは思っていません。自分たちのチームが「良い試合」だったり、自分自身が「良いプレー」をできたらその『罰走』を与えられなかったと思いますし、選手それぞれ反省点があるので「まじかー」と思いながらも受け入れて走っていたと思います。
ここで重要なのは「パフォーマンス向上」につながるかどうかだという点です。『罰走』をして、故障したり、すでに故障している選手がさらに悪化することが起きてしまうのは本末転倒になります。
まず「ケガ」についてです。20歳から「陸上競技」を本格的に始めたのですが、球技系のスポーツ同様、体力作りとして「冬期練習」になると200mや300mを何本も走る練習がメニューに入ってきます。走った後は体中に乳酸が溜まり、お尻や脚はパンパンになってくるので練習をやった感は出ます。ですが、「走り込み」が続くと決まって起こるのが「ぎっくり腰」です。おそらく、フォームが崩れた状態で走っていたことや、右足が義足ということで余計に腰に負担がかかっていたのだと思います。文献や知人の情報から、海外の高跳び選手が「走り込み」をしないことを知り、その理由を確かめるために32歳になった年に実際に「スウェーデン」に個人合宿に行きました。一緒にトレーニングをすることでその答えが分かりました。北欧系に関わらず海外選手の多くは「屋内」の競技場で冬期練習をしますので、そもそも屋内施設に1周「400m」のトラックはなく、200m前後のところがほとんどで、それもコーナーは下記のようにバンクになっています。
要するに「走り込み」の練習をするのが難しいのです。それと根本的な部分になりますが、「走り込み」の必要性を感じていないということです。
「長距離」が専門なら長い距離を走り込むことで心肺機能の向上や実際のレースに使う筋力を鍛えることができます。しかしながら、ボクの専門である「走り高跳び」を考えてみると、助走は20mにも満たないですし、順番で跳んでいくので心肺機能を鍛える必要もありません。加えて、26歳で「2m」を1度クリアして以来、ケガ続きで記録を更新できていなかったので、思い切って「走り込み」をやめることにしました。すると、不思議なことが起こりました。まず、毎年、恒例のように起きていた「ぎっくり腰」がパタっとなくなり、何より、9年間、更新できなかった自己ベストが出たのです。それも35歳の年にです。
最近では、新型コロナウイルスの影響で「ジョギング」をしている学生や大人の方を目にすることが増えていますが、スピード感やフォームを見ても「長距離」を専門とされている方はほとんどいません。もちろん、心肺機能の向上や体力維持のためでしたら何ら問題はありませんが、『競技』としてスポーツをされている方や「子どもの運動会で良いところを見せたい!!」や「地域の運動会で活躍したい!!」という方に対しては疑問に思う部分があります。
皆さんが行っている「走り込み」や「ジョギング」は一体、どのシーンで必要なのでしょうか?
サッカー、バスケ、ハンドボールなどの球技系スポーツはゆっくり走るのはウォームアップくらいで、試合中はシャトルランを繰り返している感じです。一方で、運動会で求められるのは長い距離を走れる「心肺機能」よりも短い距離を速く走れる「ダッシュ力」です。普段、ウォーキングやジョギングをしている方でも運動会で足がもつれて転倒してしまうのは、ダッシュのようなスピードに筋肉が対応できないからなのです。だから、ボクがオススメしたいのはたくさん走ることではなく、少ない本数でも良いので短い距離を「ダッシュ」することです。一見ケガをするイメージがあるかもしれませんが、本人が思うほどスピードは出ませんし、むしろダッシュをすることでとっさに動こうとしてもすぐに筋肉が反応しますので、逆にケガの予防にもなります。
「走ること」は健康を維持したり、体力向上を意図した場合は非常に良い運動になりますが、『速さ』を求める場合は、ただ走るだけでは記録が向上しないばかりか、ケガのリスクも高まりますので、ぜひ、この機会に走る【目的】を再考されることをオススメします。
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